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「・・・。呪われたりしないか?」 「セイカさんの気遣いに何て事言うのよ。」 セイラは弓月の脇腹を肘で突っ突く。 そしてまたセイラは残っていた肉を全て弓月の皿に乗せた。 「あ!」 「罰!」 「この!」 弓月は今度は仕返しと言わんばかりに自分の皿とセイラの皿を取り替える。 それを受けてセイラも自分の皿を取り返そうと皿を取り替えようとしたが弓月に腕でガードされた。 セイラはその腕を叩くが、流石鍛えられた腕とあってビクともしない。 「弓月ぃ。」 セイラは情けない声を上げたが弓月はそっぽを向く。 セイラは頬を膨らませて弓月の腕を揺すった。 「あの人絶対栄養状態良いから弓月もいっぱいお肉食べないと!」 「もう良いだろ!これ以上食ったら死ぬ!本気で!」 「駄目!だって弓月細いもん!」 鍛えられている事は確かだが、弓月の腕は戦士にしては細い。 魔銃を使っている訳だからそれでも良いかもしれないが、肉弾戦になったらどうするのだ。 前線に出たり等しないエドガーでももっと鍛えていて腕は細い。 だからセイラはセイラなりに、心配しているのである。 「内臓ぐちゃぐちゃになった弓月なんて見たくない!」 「余計食べる気失せるだろ!」 「食べて!」 ついにセイラは作戦を変更した。 弓月の口を抉じ開けて無理矢理食べさせようとしたのだ。 しかし弓月はセイラから顔を背ける。 「あぁ!もう!」 そしてセイラはくるりとセイカの方に向き直った。 「セイカさん!手伝って!」 「面白そうだけどねぇ。もうお腹いっぱいだから遠慮しとくよ。」 「そんなぁ。」 「それ以前に、どうしてこんなに肉ばっかり買ったんだ!」 「だって弓月に食べさせてあげようと思ったんだもん。」 そう唇を尖らせるセイラが少しだけ憎く映るのは何故だろう。 「明日の朝にしよう。」 「そんなの固くなっちゃうし美味しくなくなるじゃない。」 「何言ってるんだ!食べれるだけで有り難いだろう!」 そう言って無意識に拳を握り締める弓月。 セイラはそれ以上何も言おうとしなかった。 セイラの家では前日に食べた物が食卓に並ぶ事など有り得ない。 残った食べ物は乞食に下げ渡すか家畜の餌になる。 しかし弓月のように食べ物を棄てるなどと想像も付かない人々もいるのだという事を、セイラは失念していた。 「これをしょっぱくして米に載せて食べても美味いんだぞ」 消沈するセイラを見かねてか、セイカが助け舟を出す。 「ホント?」 とセイラは確認するように弓月を見た。 「ああ、美味い。…多分」 残るほど肉のある焼肉を食べた事の無い弓月の返事は曖昧なものだったが、セイラはそれで納得したらしい。 セイカが肉を包みに戻しているのをしているのを見て、網を片付けたり皿を片付けるのを手伝う。 が、網の上に皿を乗せて皿を油まみれにした上に皿を落としかけて、弓月に 「お前は何もするな!」 と怒られた。 普段お嬢様暮らしのセイラは、基本的に不器用だし生活に関する事には無知なのだ。 「弓月、今日はここに泊まっていきなさい」 粗方片付け終えてセイカが言い出した事に、弓月と、それ以上にセイラが渋い顔をした。 「どこで寝るんだ」 「客用布団があるから心配ないさ」 「セイカさんと二人きりで泊まるんですか」 ん?とセイラの顔を見て、セイカは面白そうな笑みを深めた。 「一人で帰るのが怖いのかい?お嬢さん?」 「こ…っ、怖くなんかありません!」 「じゃあ帰りな。お兄さんが心配するよ」 「でも…」 助けを求めるようにセイラは弓月を見るが、弓月はその意図を掴めず 「そうだ、遅くならないうちに帰れ」 と言い放った。 「酷い、また子供扱いした!」 がっと襟を握り締めると、弓月はそれを柔らかく外し、 「多分お前はろくでもない事考えてるんだろうけどな、」 溜め息を吐きながら目線をセイラに合わせた。 「寝る時間なんか無いんだよ、特訓されるんだ。面白い事なんか無いから帰れって言ってるんだ。それに無断外泊なんかさせたら俺がお前の兄貴に殺される」 セイラはまだ不服そうに唸っていたが、それでも小さく頷いた。 「それじゃあ、明日の朝迎えに来るから」 「ああ、待ってる」 |